夫がこの世にいなくなって2度目の春菊の花
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春菊の花が咲くと
3年前の春を思い出す
夫と過ごした最後の春だった
4年前の4月に
親子4人で山里に移住して来て
畑付きの古民家をお借りでき
秋から念願の家庭菜園を始めた
放置された田畑に生える雑草の葦やススキは
山の上の痩せ地でも大きく育つ
葦の大きな宿根や岩やゴミなどが
たくさんある畑跡地を
夫がスコップ1本で掘り返して開墾した
この年は
超大型の台風が次々に和歌山を直撃し
種を蒔くことができたのは
11月になってからだった
長男と夫が
西日の光の中
小さな畑で
丁寧に春菊の種を蒔いていた
夫が作ったボカシ肥を追肥したら
小松菜の葉がみるみる濃い緑色になった
春には
小松菜や春菊が
たくさん収穫できた
見よう見まねの獣害対策は
猿や猪や鹿に侵入され
少しの白菜や菜種や燕麦は
容赦なく食べられてしまった
狭すぎる畑では
野菜の自給自足は無理だし
獣害対策を厳重にしなくては
里山の動物の格好の餌になってしまう!
もっと開墾しよう!
もっと強固な獣害対策をしよう!
もっと もっと・・・と
未来の豊かさを求めた
わたしが春菊の花が咲く横で
甲虫や青虫に穴を空けられた小松菜を収穫している間
夫は
ギターを弾きながら大きな声で歌ったり
スコップで葦の根や岩を掘り返していた
夫と一緒に春菊の花を観たのは
この年の春が最初で最後だった
夫はこの年の11月に
この世を旅立たれた
わたしは一昨年の秋に
別の集落の畑付きの古民家に引越して
春菊の種を蒔いた
畑に咲く春菊の花を
昨年の春も
今年の春も
観るたび
夫の姿を思い出し
何度も繰り返し想った…
豊かになった未来を望んで
その願望が実現したときに
幸福になるわけではない
結果にかかわらず
愛する存在と共にいる今の瞬間が
無条件にしあわせなんだ…って
6歳と1歳の子どもを連れて
東京を離れ山里に移住する
という決断をするとき
変化に対して怖がりのわたしには
心配や不安だらけだったけど
「今までも俺についてきたらだいじょうぶだったでしょ」
と夫が言い
それはほんとうだったよ
ありがとう
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たのしく
あたたかく
愛に満ちた毎日でありますように. *゚♡
.。 *゚+.* .。 .。+ . . 。 *゚ +
今日もお読みいただいて
ありがとうございます\(*ˊᗜˋ*)/
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